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サイラスのこと

サイラスのこと

ネタバレを含みます。

「ルナスティア」キャラクター人気投票では8位でしたが、サイラス=ベネットという少年がいます。
公式サイトの説明に、私は彼についてこう書きました。

「治癒魔法が得意な男子!」というのをいつか作ってみたかったのです。ついに実現しました。治癒が得意な理由は作中では直接的には言及していませんが、熱い理由がちゃんと存在します。過去シリーズにおいてはイケメンキャラは大抵ボケをかます様な子が多かったのですが、サイラス君は物凄く真面目なお兄ちゃんキャラです。

実習教室への移動中にルナスティアがふざけて校舎から出ようとすると本気で怒る様な真面目な男の子。どこか冷めた様でいて、心の中ではたった一人の家族を救うためなら自分の身の犠牲は厭わないという熱い心の持ち主。
治癒魔法が得意なのはいつか家族の病を治すためでしたが、第四章では自分のせいでルナスティアの命を危険に晒してしまい、さらに第五章では彼女が自分の身を犠牲に命を蘇らせようとしているのを見て、初めて他人の命が失われることに恐怖を覚えるのです。サイラスが、死地に赴こうとするルナスティアにかけた「やめろ、行くなっ!」は、そんな想いが秘められた叫びでした。

この物語において、ルナスティアには一切の心の成長がありません。ルナスティアが他人の生き様を見てそこから何かを学ぶことも無ければ、自分の行いを後悔する事もありません。ルナスティアはこの物語の監督であり、脚本家であり、演出家であり、定められた進行下で淡々と芝居をこなす舞台女優だったからです。この一連のお話を誰かの成長物語として捉えるなら、主人公はサイラスの方だったといえるのかも知れませんね。