ネタバレ含みますので注意。
「ルナスティア」のキーキャラクターであるファフィ=フレメル先生について書きます。
実は当初の構想ではもっとひどい先生だったんですよね。「いまでも充分ひどいですけど!?」っていう突っ込みが入りそうですけど、減点なんて可愛いもので、授業中に話を聞かない生徒を豚に変えるイベントも予定していました。難を逃れたシーマス=シンプソン君は本当によかったですね……。
「大切なものを奪われ心の深い部分に傷を負ったため、それ以降はずっと情緒が不安定」という設定メモを元に台詞を書いていたので、普通に話せる時もあれば、ぞっとするほど冷たい台詞もあったりします。
大切なものを「奪う」魔法のせいで心を狂わされた人間なので、生徒の点数とか、ハカセの教科書とか、入学式で出来たルナスティアの友達など、とにかく他人から「奪う」という行為をひたすら繰り返して来たわけです。結果的には彼女が指導してきた生徒の多くが一流の魔法使いに成長しているので、彼女は反省する事を知らないし、反省する必要すら無かったわけで。
しかし第三章で、減点されたハカセをルナスティアが庇ったのを見て、20年前のかつての自分が今とは真逆の事をしていたことを思い出し、その善性から、入学式での行動に対して罪悪感が一気に襲います。この時ルナスティアにとってはハカセを庇った行動は「きっと友達想いで優しいルナスティア=リリーならこうするだろう」という考えからのアドリブでしたが、心の深い部分がファフィと繋がっていたためだった事は、ルナスティアには思いも寄りません。
情けは人のためならず、と言いますか、この時のルナスティアの行動がファフィ=フレメルという人間を変え、ファフィにとって最も幸せな結末を迎えるに至ったのは、かつての自身の善行のおかげだったんですね。