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ファフィ=フレメルのこと

ファフィ=フレメルのこと

ネタバレ含みますので注意。
「ルナスティア」のキーキャラクターであるファフィ=フレメル先生について書きます。

実は当初の構想ではもっとひどい先生だったんですよね。「いまでも充分ひどいですけど!?」っていう突っ込みが入りそうですけど、減点なんて可愛いもので、授業中に話を聞かない生徒を豚に変えるイベントも予定していました。難を逃れたシーマス=シンプソン君は本当によかったですね……。

「大切なものを奪われ心の深い部分に傷を負ったため、それ以降はずっと情緒が不安定」という設定メモを元に台詞を書いていたので、普通に話せる時もあれば、ぞっとするほど冷たい台詞もあったりします。
大切なものを「奪う」魔法のせいで心を狂わされた人間なので、生徒の点数とか、ハカセの教科書とか、入学式で出来たルナスティアの友達など、とにかく他人から「奪う」という行為をひたすら繰り返して来たわけです。結果的には彼女が指導してきた生徒の多くが一流の魔法使いに成長しているので、彼女は反省する事を知らないし、反省する必要すら無かったわけで。

しかし第三章で、減点されたハカセをルナスティアが庇ったのを見て、20年前のかつての自分が今とは真逆の事をしていたことを思い出し、その善性から、入学式での行動に対して罪悪感が一気に襲います。この時ルナスティアにとってはハカセを庇った行動は「きっと友達想いで優しいルナスティア=リリーならこうするだろう」という考えからのアドリブでしたが、心の深い部分がファフィと繋がっていたためだった事は、ルナスティアには思いも寄りません。

情けは人のためならず、と言いますか、この時のルナスティアの行動がファフィ=フレメルという人間を変え、ファフィにとって最も幸せな結末を迎えるに至ったのは、かつての自身の善行のおかげだったんですね。

ルナスティアと構想段階

ルナスティアと構想段階

今回の作品の主人公ルナスティア=リリーですが、本制作に入る前の名前はルナスティア=ルルーでしたし、仮タイトルも「ルナスティア=ルルーと闇魔法の秘密」でした。
最終的にルナスティアのファミリーネームを「ルルー」でなく「リリー」にしたのは、リリーの意味が百合の花で、闇属性=黒=黒百合の花言葉を調べてみると「呪い」というのがあって、それがぴったりだなって思ったんですよね。

ちなみにほとんどの登場キャラクターにおいてファーストネームとファミリーネームの頭文字を同じにしているのは、声に出しては言いづらいけど、氏と名どっちか片方が台詞内に登場した時に一致させやすいかなって思って。ジェシー=ジュベールとか、リータ=リビングストンとか。この辺りは「ラハと理の魔法生」に登場したシエスタ=シェリル、ステファン=ステファマリスが起点なんですけど。

最終章を作り始めた頃には、娘がすべての人物のフルネームを丸暗記していたという……。

サイラスのこと

サイラスのこと

ネタバレを含みます。

「ルナスティア」キャラクター人気投票では8位でしたが、サイラス=ベネットという少年がいます。
公式サイトの説明に、私は彼についてこう書きました。

「治癒魔法が得意な男子!」というのをいつか作ってみたかったのです。ついに実現しました。治癒が得意な理由は作中では直接的には言及していませんが、熱い理由がちゃんと存在します。過去シリーズにおいてはイケメンキャラは大抵ボケをかます様な子が多かったのですが、サイラス君は物凄く真面目なお兄ちゃんキャラです。

実習教室への移動中にルナスティアがふざけて校舎から出ようとすると本気で怒る様な真面目な男の子。どこか冷めた様でいて、心の中ではたった一人の家族を救うためなら自分の身の犠牲は厭わないという熱い心の持ち主。
治癒魔法が得意なのはいつか家族の病を治すためでしたが、第四章では自分のせいでルナスティアの命を危険に晒してしまい、さらに第五章では彼女が自分の身を犠牲に命を蘇らせようとしているのを見て、初めて他人の命が失われることに恐怖を覚えるのです。サイラスが、死地に赴こうとするルナスティアにかけた「やめろ、行くなっ!」は、そんな想いが秘められた叫びでした。

この物語において、ルナスティアには一切の心の成長がありません。ルナスティアが他人の生き様を見てそこから何かを学ぶことも無ければ、自分の行いを後悔する事もありません。ルナスティアはこの物語の監督であり、脚本家であり、演出家であり、定められた進行下で淡々と芝居をこなす舞台女優だったからです。この一連のお話を誰かの成長物語として捉えるなら、主人公はサイラスの方だったといえるのかも知れませんね。

ルナスティアと今後について

ルナスティアと今後について

先日フリーゲーム夢現主催「フリーゲーム大賞2024」にて、拙作「ルナスティア -忘却の少女と魔法学校-」が大賞に選ばれました。作品を遊んでくださった皆様、応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。

大賞は初めての事でとても感激なことですが、一方で複雑な気持ちもあります。

発表直後、
「他の受賞作品はグラフィックもシステムも長い年月をかけて作り込まれた素敵な作品ばかりなのに、たかが三ヶ月のポッと出で工夫の無い薄っぺらな作品が賞を取るなんて意味が分からないんだが、不正していないか」
「生成AIが使用されている作品が大賞に選出されるのは納得できません。辞退すべきです」
といった趣旨の、ややきつめのご意見を2名の方よりいただきました。

自分の大好きな作品をお前のせいで、というお気持ちはとても理解出来るのですが、私自身、このご意見に対してどうコメントしていいのか分からず、いまだにお返事を返せていません。謝るのも違うと思うし、辞退を申し出るのも違う気がして。

この賞はレビューの数と総合評価、それに期間補正が関わる形で選考されているそうなので、ほぼプレイヤーの皆さんの投票の様な形で決定されました。拙作を素敵な作品だと評価してくださった沢山のプレイヤーさんのために、私は自信を持って、今回の受賞結果を誇りたいです。それ以外に申し上げられる言葉が見つかりません。

ただ、生成AIグラフィックに関しては、もう二度と今後の作品に使わないつもりでいます。
AIの使用が賛否両論の元になるからと言うのももちろん理由の一つですが、私自身が「100%望む絵を出せなかった」というのが大きいです(勉強不足で出し方を知らないだけかも知れませんが)。

たとえば、ルナスティアやジェシーや各先生の表情に関して、魔女塔のシュリィの驚き顔の様なデフォルメ絵が欲しかったのですが、目を開くか閉じるかぐらいしか出来ず、点目とか白目とかうずまき目とかがまったく出来ない。ジト目すら微妙。コミカルな雰囲気をまったく出せなかったです。そんな表情が出せればもっともっと楽しい作品になったんだろうなって考えると、とても手描きのクオリティに敵うレベルでは無いと感じました。キャラクターの顔を作ることは出来ても、キャラクターの命を作る事までは出来ていないことを痛く感じました。今後もし作品を作ることがあれば、キャラクターに命を吹き込んでいただける素敵な絵師さまにお願いしたいと思います。

最後になりますが、本作品に関しまして賛否沢山のご意見をくださり、本当にありがとうございました。

ルナスティアと最後のおまけシナリオ

ルナスティアと最後のおまけシナリオ

昨日「ルナスティア -忘却の少女と魔法学校-」最後のおまけシナリオを追加したver1.5を公開しました。
今度こそ正真正銘、シナリオの追加は最後。戦闘バランスも特に指摘されていない様ですし、不具合や誤字が見つからない限り、v1.5がFinalバージョンという事もありえます。沢山のプレイヤーさまに楽しんでいただけます様に。

最近、私自身も他作者さまのフリーゲームを何本か遊びました。
ツクールでこういう遊びも出来るんだなぁと感じることが多かったです。