「ラハと魔法の園 -the graystory-」のサブキャラクター、ハムス・ウィンス兄弟。
どちらもC級魔法生です。実はラハシリーズの時代では種族の概念がほとんど無いため、耳の形や肌の色が違っていてもそれは出身国が異なるというだけで扱われ方は同じ。差別などもありません。また、国が違うからと言って特別な力を持つわけでも無く、異世界モノにありがちな種族間の混血による変異などもありません。唯一、妖精だけが特別な存在と言えます。
さて、ラハは転入早々中庭にいるこの二人の蛮行を目撃するのですが、このシーンについて、やや深掘りしておきます。
この双子は見学中の中等学院生ロイに炎の魔法をぶつけて遊んでいるとされていますが、実はこれ「ギリギリ当てない」範囲で楽しんでいるんです。怪我をさせてしまえばそれはそれで暴行罪に問われますし、魔法生評価にも大きく響くからです(まあその行為そのものにも、行為を止めない体質にも、もちろん大いに問題はあるのですが)。
そしてここで見かねたラハが止めに入ります。実はこの行為が魔法界法の最大の落とし穴で、魔法界に生きる人々の間では「力の無い者が止めに入ることは愚か者の証」と認識されており、この瞬間から双子達はロイを殺す事は罪になりますが、ラハを殺すことは罪にならなくなるのです。だから双子達は容赦なくラハに魔法をぶつけて殺しにかかって来た訳です。
よってラハは蛮行を見つけ次第、ラクリス先生なりジャッラ先生なりに知らせて止めさせるのが最善策でした(でもフーバルトじゃ駄目そう)。この物語のラストにて自己責任法のもう一つの落とし穴が明かされますが、もし双子達がラハを殺していたら、彼ら自身もサリィによって「そうなっていた」ifがあったかも知れませんね。